2012年3月7日水曜日

いつか逢へたら(When I met with you again one day)

いつか逢へたら
(When I met with you again one day)


作詞 村崎 文 男
作曲 高秋 美樹彦



§



 この曲は戀歌(ラヴソング)で樂曲としては四拍子と三拍子が入れ違ひになつてゐて、所謂(いはゆる)變拍子の音樂である。
 春になると人戀しくなつていつも憂鬱の世界の住人になる。
 既婚ではあるものの誰かまぼろしの女性を夢見て、一人で倦怠(アンニユイ)の沼に沈んでゐる。
 妻は心得たもので、
 「また始まつたか」
 と、ヤレヤレといふやうに自然に魔法が解けるまで放つておいてくれる。
 これは五年ほど前に「戀の病」に陷(おちい)つた時に作つた曲であり、主旋律に樣々な思ひが絡むやうに彩りを添えるが、纏はりつく裝飾が次第に主旋律を追ひかけるやうにして追復曲(カノン)のやうに主旋律が現れ、最後にはまるで自己像幻視(ドツペルゲンガア)ででもあるかのやうに三度上の音で覆(おほ)ひ被(かぶ)さるのである……。
 この曲の間奏部分の口風琴(ハアモニカ)の即興(インプロビゼエシヨン)はとても氣に入つてゐる。


§


いつか逢へたら
(When I met with you again one day)

作詞 村崎 文 男



一、いつの間にか 何故か 溢れる涙
君を思へば こんなに悲しくて
こんなに空が 青く 遠く思へる
君の所爲だね さうだね さうなんだ
「さやうなら」の言葉は どちらかえだつたか
今となつては どうでも良い事だよね
だつてさうだらう お互ひの氣持を
考へたら かうするより 仕方なかつた
いつの日にか 君とめぐり逢へたら
どんな言葉をかけたら いいのだらう

二、どんなに遠く 遥か 離れてゐても
君を思へば 姿が目に浮ぶ
君への思ひ とても募るばかりで
抑へ切れずに 名前を呟けば
「さやうなら」の言葉が 切なく 甦 る
だけどそれには それなりの理由が
だつてさうだらう お互ひの氣持が
嫌ひだから 別れようと した譯ぢやない
いつの日にか 君とめぐり逢へたら
そつと眩しく 見守り續けよう

三、どんなに時が ずつと 過ぎ去らうとも
心の痛みは 和らぎはしない
あれから君はどうしてゐるのか
それを思えば 胸も疼きだし
「さやうなら」の場面が いつまでも消えない
言ひ譯じみてると思はれるかな
だつてさうだらう 愛さへあるなら
一緒に暮らせる という譯ぢやない
いつの日にか 君とめぐり逢へたら
幸せ ひそかに 祈り續けよう


§

樂譜













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